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世界のファンタジスタ、モーレゴードが
現代卓球を変えるのか。
「私たちは今、歴史を作っている」

2023年10月01日

●●● 欧州優勝の立役者、21歳のモーレゴードは革命児か!?

このワクワク感は何だろう。
昔、どこかで感じたもの・・・・そうだ、1980年代にスウェーデンが中国に対抗する形で飛び出してきた、ワルドナー(1989年世界チャンピオン・1992年五輪優勝)やパーソン(1991年世界チャンピオン)のプレーを見ていた時と同じ感覚に襲われる。
21年ぶりにヨーロッパ選手権を制したスウェーデン。決勝では長くヨーロッパの覇者だったドイツを3-1で破った。トップでドゥダを下し、チームをビクトリーロードに導き、4番で欧州の帝王こと、ティモ・ボルと対戦したモーレゴード。

最終ゲームの10-5で切れたロングサービスをボルのバックのふところ深くを狙い、その気迫に負けるかのようにボルのレシーブがネットにかかった。モーレゴードがスウェーデンに優勝カップを運び込んだ瞬間だった。
チームメイトと抱き合うモーレゴード、そしてボルと握手を終えると、飛び跳ねながら叫び、いつもの「トゥルルス・セレブレーション」の決めポースを見せた。

スウェーデン卓球はワルドナーやパーソンに代表されるような多彩で創造的なオールラウンドプレーが持ち味だった。しかし、2000年以降、世界の卓球はチキータからの超攻撃卓球に染まっていく。創造的で自在な攻撃プレーの前に、チキータとカウンタープレーが襲いかかる。それが世界の潮流だった。

モーレゴードはバックハンドのカウンタースマッシュが得意だが、「サイバーシェイプ」というラケットもこの打法に適している

モーレゴードはバックハンドのカウンタースマッシュが得意だが、「サイバーシェイプ」というラケットもこの打法に適している

そんな時代に現れたのがモーレゴードだ。独特の浅いグリップで手首の可動範囲は広く、両ハンドの前陣カウンタープレーとチキータ全盛の時代に、ストップレシーブやナックル気味のチキータと回転をかけたチキータを駆使する台上プレー。サービスもバック、ミドル、フォアと出す位置を変えながら順回転、逆回転を多彩に出し分ける。
相手のドライブに対しては柔らかいタッチでボールを殺すようなブロックでミスを誘うかと思えば、カウンタードライブ、そしてカウンターのスマッシュというリスキーではあるが、他の選手では見られない技を使える。そして広角に打てるフォアのドライブと、見ていて楽しくなるような創造性を感じる。
ジュニア時代はそれらがまとまりのないプレーに見えていた時期もあったが、一つひとつの精度が上がった今、実に魅力的な卓球になっている。

ヨーロッパ選手権の準決勝でフランスに勝った瞬間のモーレゴード。パーソン監督が「おい、ラケットを踏むなよ」と指さしているようにも見える

ヨーロッパ選手権の準決勝でフランスに勝った瞬間のモーレゴード。パーソン監督が「おい、ラケットを踏むなよ」と指さしているようにも見える

「(決勝の)ティモ・ボル戦ではサービスが効果を発揮した。ぼくは早いペースでプレーし、最終的にはそれが相手との違いを生む。ティモは常に挑戦的な相手であり、決して油断はできないですね。我々スウェーデンチームはこれまでに何度か決勝に進出して、敗れていますが,その流れを変えることができて最高の気分です。私たちは今、歴史を作っているんです。決戦で10−5とリードしていた時は、観衆が私の名前を呼び、チームを応援してくれて、本当に夢のような気分でした」と興奮しながら若きスウェーデンのエース、モーレゴードは優勝を決めた後に語った。

1990年代まで過去の栄光がさびれていくように日本の卓球は弱体化していく。当時、他国が日本の卓球を表現する時にいつもこう言っていた。「ステレオタイプ(固定観念の強い)のプレースタイルだ」と。これはフォアハンドとフットワークに頼り、多様性のないプレースタイルを意味していた。

それが2002年以降、男子の岸川聖也、水谷隼がドイツで鍛えられ、弱かったバック技術が強くなり、応用力がないと言われた日本の卓球は、多彩な卓球に変わっていった。ところが、日本の若手は、気づけば、チキータからの両ハンドカウンター卓球に偏向していくのだ。
しかし、それは日本だけでなく世界的な流れでもあった。見ていても単調な「打ったモノ勝ち」のような卓球ではなかったか。
そこにヨーロッパの若い世代、モーレゴードや、フランスのアレクシス・ルブラン、フレックス・ルブランという異色の兄弟選手が登場し、単調な攻撃卓球から脱却しようとしている。

卓球は「スピード」と「カウンタードライブ」だけではない。相手の回転を殺したり、一撃のスマッシュを打ち込むのも卓球の魅力だ。スウェーデン卓球がヨーロッパを制した意味は大きい。
そして今、モーレゴードの卓球が世界の流れを変えようとしている。
<記事=卓球王国 写真=ETTU>

<創造的な選手には創造的なラケットを>

モーレゴード使用ラケット

モーレゴード使用ラケット

CYBERSHAPE CARBON CWT
TRULS EDITION

サイバーシェイプカーボン CWT
トルルス エディション

¥44,000(税込み)
●木材5枚+カーボン2枚
● FL・ST・中国式ペン
●板厚:6.3mm ±
●平均重量:85g
●重量パーツ:3g・6g・9g(3種類)
10月上旬発売予定

創造性のDNAをラバーに搭載したモーレゴード使用ラバー

フォア面・バック面
スティガDNAプラチナXH

スティガDNAプラチナXH

DNAプラチナXH
色:黒・赤
厚さ:MAXのみ(スポンジ2.3mm)
スピン系高速裏ソフトラバー
¥8,800(税込み)