写真=江藤義典(2016年撮影)
photographs by Yoshinori Eto
硬質の7枚合板「クリッパーウッド」とは…

目指したのは木材による最速・強弾性
40年以上も売れ続ける伝説のラケット。
発売は1981年。すでに40年以上も売れ続けているラケット、それが『クリッパーウッド』だ。発売当時は木材ラケットが全盛だったが、徐々にカーボンなどの特殊素材が登場し、ラケットのスピードを競う時代だった。そこでスティガが開発コンセプトにあげたのは「木材による最速・強弾性」だ。特殊素材を凌駕するようなスピードを木材で実現させる。だから『クリッパーウッド』には木材の力強さが表現されている。
ブレイクのキーパーソンとなったのは、世界チャンピオンの劉国梁(写真下)だ。彼が現役時代に使い続けたラケットとして『クリッパーウッド』は名を馳せた。96年アトランタ五輪、99年世界選手権アイントホーヘン大会で金メダルを獲得し、世界チャンピオンモデルとして、大ヒットとなった。
近年は特殊素材の波に押され気味だったが、硬質でボールを飛ばす木材ラケットが見直されている。回転がかかって、ボールも速い。今再び注目される不朽の名作『クリッパーウッド』7枚合板を考える。

硬い7枚合板が、つかんで弾く
スウェーデン製の7枚合板の代名詞、それが『クリッパーウッド』だ。木材合板らしいボールのつかみはもちろん、前方へ弾く力が非常に強い。そのため、「もっとスピードがほしい」という木材ユーザーに人気が高い。
一時期、トップ選手の使用ラケットは特殊素材全盛となり、木材使用者が減ってきていたが、プラスチックボールの時代に、再び木材が見直されている。5枚合板よりも弾み、特殊素材よりもボールをつかむという7枚合板にスポットが当たっているのだ。発売から今年で44年目。再び『クリッパーウッド』の時代が来ているのかもしれない。
7枚合板に流行させた赤い染色材
添芯の赤い染色材は、『クリッパーウッド』の代名詞。その後、他社の多くの7枚合板がこの色を使うようになった。『クリッパーウッド』は7枚合板のお手本なのだ

クリッパーウッド
木材7枚
グリップ:FLA・STR・PEN
ブレードサイズ 158(縦)×150㎜(横)
板厚 6.5㎜
価格:14,850円 税込