STIGA NEWS
デフ卓球界のパワーヒッター
亀澤史憲
用具に求めるのは、威力、軽量、そして感触
2023年12月22日

22年夏季デフリンピックでは、日本男子団体銅メダルに貢献。
また日本ろうあ者卓球協会主催の「2024年全日本卓球選手権予選会」で優勝し、
2024全日本卓球(一般の部)に出場を決めた亀澤史憲。
音のない「デフ卓球」において、彼は用具に何を求めるのだろうか。
自分では他のテンションとさほど変わらない感覚で打っても受けた相手が「だいぶパワーがある」と言ってくれる
私はフォアが主戦武器で、ドライブの威力を出すために、フォア面のラバーには微粘着が合うと感じています。STIGA契約当初から使っているのが微粘着テンションの『DNAドラゴングリップ』。以前、中国ラバーも試したことはありますが、粘着性が強すぎて、飛んでほしいタイミングでボールが飛んでくれない感触でした。
『DNAドラゴングリップ』は、中国ラバーより程よく球離れが早いですね。でもしっかり回転をかけて打てば、相手がブロックでオーバーミスすることが多い。自分で打っている時は、他のテンションとさほど変わらない感覚なんですが、練習相手は「だいぶパワーがある」と言ってくれます。
新製品を含め、他のラバーも一通り試しましたが、『DNAドラゴングリップ』が一番威力が出て、私に最も合ったラバーですね。

よりレベルの高い卓球を目指し、
伸ばすバックハンドに挑戦。
ラバーを硬めにし、回転量がアップした
私は、バックはミート系やブロックを中心にして、フォアドライブに繋げるスタイルです。バック面にも『DNAドラゴングリップ』を試したこともありますが、硬すぎて難しかった。以前は『DNAプラチナH』を使っていて、少し軟らかめで弾みもあるので使いやすく満足していました。
しかし、よりレベルの高い卓球を目指そうと考えた時、バックもミート系だけでなく伸ばす(上回転をかけ返す)ことに取り組み、次第にドライブをかけることができるようになってきた。そこで、少し硬い『DNAプラチナXH』に変更。ミート系なら『H』のほうがやりやすいですが、『XH』に変更して、よりバックハンドの回転量がアップしました。

「ブームだから試したい」から
「ラケットとしていいじゃん!」に。
すぐに使い始めた『サイバーシェイプ カーボン』
ラケット選びについては、『DNAドラゴングリップ』ありきで、それに合うラケットを探すという感じです。以前は『カーボネード』を使用していましたが、『サイバーシェイプ カーボン』が発売され、「ブームだから試したい」くらいの気持ちで試したんです。すると形状うんぬんを抜きに「単純にラケットとしていいじゃん!」となって、すぐに気に入って使い始めました。
『サイバーシェイプ カーボン』は『DNAドラゴングリップ』との相性が良いし、ボールがよく飛んでくれます。形状面では、特にバックハンドがやりやすく感じ、不思議と「自分の動かしたいようにしか動かない」感覚です。ラケットが勝手に無駄な動きをしないので、使いやすい。
ただ、対戦相手のレベルが上がるにつれて、速いラリー展開が増え、自分がついていけないことが増えてきたんです。私は補聴器をつければ音が聞こえるので、補聴器をつけて練習すると、相手が打つ時や台に弾む時の「カコーン、カコーン」というリズムに乗って打ちやすい。しかしデフの試合では補聴器は禁止で聞こえないので、耳に頼れずに目でボールを追う必要があります。ボールが自分の手元に来るまで目で追ってしまうので、振り遅れがちになるし、相手の動きに十分に意識を払えないという難しさがあります。そこで私は、反応が間に合わず振り遅れてしまわないよう、2023年の中頃からラケットの軽量化に取り組みました。
『サイバーシェイプ カーボン』は弾むわりに軽いラケットだと思いますが、その中でもやや軽めを選ぶようにしました。グリップエンドの重りで重量調整ができる『サイバーシェイプ カーボン CWT』も試しましたが、全体が少し重くなったので、ノーマルバージョンを使っています。以前はラバーを貼った全重量で190g台でしたが、今は約184g。重いほうがパワーは出ますが、私の場合は元々パワーはあるほうなので、軽量化を重視。結果的にプレーが良くなったと思います。

デフ卓球では耳が聞こえないので、
「感触」がより重要になる。
「感触」のない用具は使えない
ラケットは同じ種類のものでも、1本1本微妙に異なります。軽さとともに私がこだわっているのが「感触」ですね。耳が聞こえないぶん、インパクト時に手に伝わる感触が「ポコッ」なのか「カーン」なのか、そういう違いを感じ取ってプレーしています。
ですので、打球時の感触が少ない用具だと難しい。アウターラケットは打っている感触が少ないものが多いですが、『サイバーシェイプ カーボン』は弾むけど、インナーならではの「感触」があるブレードです。『DNAドラゴングリップ』との組み合わせは、威力、重量、感触という様々な意味で、今の私にとってベストな用具なんです。
(写真・取材:卓球王国)
●亀澤史憲/かめざわ・ふみのり
1993年生まれ 東京都出身
2013年 夏季デフリンピック ミックスダブルス8位入賞
2020年 全国ろうあ者卓球選手権大会 男子シングルス優勝
2022年 夏季デフリンピック 男子団体3位
2022年 全国ろうあ者大会 男子シングルス優勝、男子団体優勝
2022年 世界ろう者卓球選手権大会 日本代表最終選考会 男子シングルス優勝
2023年 日本ろうあ者卓球協会主催・2024年全日本卓球選手権予選会 男子シングルス優勝
亀澤史憲・使用用具(2023年12月現在)

サイバーシェイプ カーボン
https://stigasports.jp/products/1092

DNAドラゴングリップ
https://stigasports.jp/products/1463

DNAプラチナXH
https://stigasports.jp/products/1437