STIGA NEWS

「理想は弾んでコントロールできる用具」
沖縄の星・上江洲が語る、用具と近況

2023年12月26日

所属していた東京アート卓球部が休部になり、新天地としてスウェーデンリーグに参戦。ファイナルでは単複で勝利を挙げ、所属するソーダハムを優勝に導いた上江洲光志。用具へのこだわりも一層強い彼に、理想の用具と日本帰国後の生活について話を聞いた。

●「ぼくはそこが自分の良さだと思ってます。くせ球しか出ないところが。」

ーー今使っている用具を教えてください。

今使用している用具は、ラケットは『サイバーシェイプ カーボン』、ラバーは両面『DNA プラチナ XH(両面厚さMAX)』です。

ーー以前使用していたのは『カーボネード 190』ですよね。『サイバーシェイプ カーボン』に変えた理由は?

『カーボネード 190』も『サイバーシェイプ カーボン』も両方球持ちは良いけど、『サイバーシェイプ カーボン』はより弾みが良いと感じます。「弾みも良く、コントロールしやすいラケット」って、ぼくの中では最強のラケットだと考えていて。『カーボネード 190』より弾んで、さらにコントロールもしやすいラケットっていうのが『サイバーシェイプ カーボン』かなと思います。これがまずは変えた大きな理由ですね。
 あと、ぼくは結構ミートやブロックをするので、スイートスポットの広い六角形のブレードはすごく使いやすくて、自分のプレースタイルにとてもマッチしています。そこも、『サイバーシェイプ カーボン』を使う理由ですね。

スイートスポットの広いサイバーシェイプで安定したバックハンドを振る上江洲

ーーラバーにもこだわりはありますか?

あります。実は以前『DNA ドラゴングリップ』っていう微粘着ラバーをフォア面に貼っていて、スウェーデンリーグに参戦していた時に途中でやめました。その理由は、自分が100パーセントで待っている、良い態勢の時は打てるけど、不意を突かれた時、ぱって返そうと思った時にラバーが硬めなので、ネットミスすることが多かった。それで今の『DNA プラチナ XH』に変えました。

ーー粘着ラバーはずっと使っていたんですか?

東京アートに入社した頃から使っていました。

ーーバック面もフォアと全く同じものを使用していますね。

スティガのラバーの中で、最も質の良いボールが出せるのが『DNAプラチナ XH』だと思っています。『マントラ プロ』も性能はすごく良いんです、想像以上に。でもやっぱり、ボールの回転量、スピードなどが『DNA プラチナ XH』には敵わなかった。威力が違うんです、バックドライブでもフォアドライブでも。練習でもぼくのボールを受けた相手が「ボールの重さが『マントラ プロ』と『DNA プラチナ XH』でかなり違う」って言ってくれます。
あと、ぼくがスティガのラバーを使っていて「自分の良さが出たな」と思うのは、ぼくはもともとボールが綺麗じゃなくて、結構くせ球を打つんですよ。くせ球+ヨーロッパのラバーなので、より「嫌らしさ」が出てるって周りから言われます。

ぼく結構ブロック上手いんですよ。でも自分が練習で相手にブロックしてもらう時、「上江洲さんのボール、回転かかってる時はめっちゃ回転かかってるけど、かかってない時は全然かかってないです」って、本当にやりにくいってみんな言ってます。ぼくはそこが自分の良さだと思ってます。くせ球しか出ないところが。

ーーえ、それは自分では同じ力で打っているのにボールの球威に勝手に差が出てるっていうことですか?(笑)

なります(笑)。しかも意図的にやっていないので、ぼくの素質です(笑)。でも、回転がめちゃくちゃかかった時の感覚はわかるんですよ。例えば、フォア3分の2をすべてフォアドライブでストレートに打つ練習で、自分の中で「今めちゃくちゃ回転かかった」って思ったボールをブロック側は必ずオーバーミスします。ぼくは吉村真晴・和弘兄弟と練習することが多いんですけど、あの2人にボールとりづらい、やりにくいと言われます(笑)。真晴さんはブロックよりも攻撃が得意な人だけど、和弘ってブロックめちゃくちゃうまいんですよね。でもそんな彼でさえ、ブロックミスをしてくれるのでとても自信がつきます。ちなみにぼくはテナジーで打ったらボールはめちゃくちゃ綺麗です。やっぱりこのクセ球はスティガならではだと思いますね。

ーー用具に一番求めるものって何ですか?

一番はやっぱり自分がコントロールできるかどうか。硬さというものにはそこまでこだわっていなくて、一番の理想は「弾んでコントロールできる」用具。これがぼくの中で常に追い求めているものですね。やっぱりトップ選手のボールを自分の力で打ち返す時、パワー出したいじゃないですか。そのためには弾みって絶対必要ですから。

●「言うたらぼくサムライなんですよ。ノーギャラで大活躍して優勝に導いて。だから次はお金も出してもらって、挑戦できたら良いと思っています」

ーー用具の話から少しはずれてしまうんですけど、上江洲さんの今の練習環境というか周りの環境ってどんな感じなんですか?

毎日ルーティンが違います。練習する時間も練習相手も毎日バラバラ。自分が練習したいって思ってもやれない日もある。5月にスウェーデンから帰ってきて、帰ってから1カ月は次の拠点を探すために沖縄にいて、6月から東京での活動をスタートしました。ぼくは東京に拠点があるので基本は東京で生活しています。周りには結構沖縄にいると思われているんですけど、ぼく東京にいます(笑)。
普段の練習拠点ですが、NT選手、NT候補選手と練習する時はトレセン(味の素 ナショナルトレーニングセンター)の練習場を使わせてもらえます。あとはFSC卓球場っていうところも使わせてもらっていて、ここも自分で連絡を入れて選手を見つけてやっています。あとはタマスの契約選手とタマスの練習場を使わせてもらってやっていますね。これは琉球アスティーダが一応タマスのチームっていうのもあって、多めに見てもらっている感じです。あとは、ぼくは琉球アスティーダの人間だけど、T.T彩たまにも何度か練習に行かせていただいたこともあります。
 ぼくの住んでいるところの近くにリコーがあるので、リコーで何度か練習したこともあります。リコーは夜7時から練習がスタートするのですが、監督の工藤さん、選手がいつでもおいでと言ってくれるので嬉しい、感謝ですよね。
 相手を見つけて「この日やろう」とか、「何時からやろう」とかを決めてやっていて、練習時間も毎日違うし、やりたくてもできない日もあって、そういう環境でやってきて、今までにないくらいのストレスを抱えましたね。本当にこんな環境で二度とやりたくない。本当に辛かったです。これも自分で決めた、一度経験しないといけないものだとプラスに思うしかないかな。

ーーでもスウェーデンにいた時も練習時間自体はわりと短かったんですよね?

でもスウェーデンの時は練習場の上にゲストハウスみたいなのがあって、そこに住んでいたので、練習したかったら下に降りて、練習し終わったらすぐに上に上がってみたいな生活環境だったのですごく良かった。試合も定期的にあったし、モチベーションしかなかったですね。
 ぼくはここ3、4年試合数は少ないんです。東京アートにいた時代も、出番がなかったこともちょこちょこありましたから。「試合が少ない」っていうことは今と変わらないんですけど、東京アートの時は箱が常にあって、チームメイトがいてという環境でやっぱりルーティンがあったので負担はなかった。でもこの一年、本当にルーティンがなくて、精神的にめちゃめちゃしんどかった。来年からはこの動きは絶対にしないって決めました。時間がもったいないなって思いましたね。この生活をするんだったら違う仕事じゃないけど、何かやりたいなっていうのは考えています。

東京アートだと休部が決まった時にいたあの5人は、(高木和)卓さんはT.T彩たまで箱がすでにあって、ファーストでもやりたい時に練習がやれているので良い環境にいると思うんです。小西海偉(旧姓:吉田)さんはほぼポーランドに移住みたいな感じだし、村松(雄斗)もちょこっと日本にいましたけど、やっぱり「箱がない、毎日ルーティンが違うからなんか嫌になってきました」みたいな話とかしていてすごく共感しました。でも彼は今ドイツでやっているのでまだマシで、坪井(勇磨)もドイツに行っているので今一番キツいのはぼくですね。

ーー上江洲さんももう一度海外に挑戦するとかは?

来年もう一度スウェーデンリーグに挑戦しようかなと思っています。でもやっぱり1回優勝してしまうともういいかなとか思っちゃうんですよね。でもあの時って、ぼくノーギャラで行ったんで、言うたらぼくサムライなんですよ。ノーギャラで大活躍して優勝に導いて。だから次はお金も出してもらって、挑戦できたら良いなと思っています。

優勝を決めてソーダハムのメンバーと。向かって左から2人目が上江洲選手

ーー最後に一言お願いします

琉球アスティーダ、練習場を貸してくれる場所、そして一緒に練習をしてくれる仲間、サポートしてくれるSTIGAには強く感謝しかありません!

(写真・取材:卓球王国)

●上江洲光志/うえず・こうじ
●第53回全日本社会人選手権大会ダブルス3位 ●2019年度前期日本リーグ1部優勝 ●2019年度後期日本リーグ1 部優勝 ●第69回全日本実業団選手権大会優勝

上江洲光志・使用用具(2023年12月現在)

サイバーシェイプ カーボン
https://stigasports.jp/products/1092

●フォア面 ●バック面 DNAプラチナXH
https://stigasports.jp/products/1437